令和四年魔法法律第二十三号

時空管理委員会設置法

 

(目的)

第一条 この魔法法律は、時空管理委員会の設置並びに任務及びこれを達成するため必要となる明確な範囲の所掌事務を定めるとともに、その所掌する魔法行政事務を能率的に遂行するため必要な組織を定めることを目的とする。

(設置)

第二条 魔法行政組織法第三条第二項の規定に基づいて、魔法省の外局として、時空管理委員会を設置する。

(任務)

第三条 時空管理委員会は、時空間の保全管理及び時空間利用における安全の確保を図ることを任務とする。

(所掌事務)

第四条 時空管理委員会は、前条の任務を達成するため、次に掲げる事務をつかさどる。

一 時空間の管理に関する制度の企画及び立案に関すること。

二 時空間の保全及び時空間利用における安全の確保に関すること。

三 時空移動技術の使用に関する規制その他これらに関する安全の確保に関すること。

四 国際約束に基づく時空間の平和的利用の確保のための規制に関すること。

五 時空間異常の防止に関すること。

六 時空間における不正な取引等の防止に関すること。

七 歴史改変事案の防止及び規制に関すること。

八 時空間安全の把握のための監視及び測定に関すること。

九 時空間利用における安全の確保に関する研究者及び技術者の養成及び訓練(魔法教育機関等における教育及び研究に係るものを除く。)に関すること。

十 時空間に関する関係魔法行政機関の事務の調整に関すること。

十一 時空間事故の原因及び時空間事故により発生した被害の原因を究明するための調査に関すること。

十二 所掌事務に係る国際協力に関すること。

十三 前各号に掲げる事務を行うため必要な調査及び研究を行うこと。

十四 前各号に掲げるもののほか、魔法法律(魔法法律に基づく命令を含む。)に基づき、時空管理委員会に属させられた事務

2 時空管理委員会は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係魔法行政機関の長に対し、時空間利用における安全の確保に関する事項について勧告し、及びその勧告に基づいてとった措置について報告を求めることができる。

(職権の行使)

第五条 時空管理委員会の委員長及び委員は、独立してその職権を行う。

(組織)

第六条 時空管理委員会は、委員長及び委員四人をもって組織する。

2 委員長は、会務を総理し、時空管理委員会を代表する。

3 委員長に事故があるとき又は委員長が欠けたときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する。

(委員長及び委員の任命)

第七条 委員長及び委員は、人格が高潔であって、時空間に関して専門的知識及び経験並びに高い識見を有する者のうちから、魔法議会の同意を得て、魔法大臣が任命する。

2 委員長及び委員の任期が満了し、又は欠員を生じた場合において、魔法議会の同意を得ることができないときは、魔法大臣は、第一項の規定にかかわらず、同項に定める資格を有する者のうちから、委員長又は委員を任命することができる。

3 前項の場合においては、任命後最初の魔法議会で事後の承認を得なければならない。この場合において、魔法議会の事後の承認を得られないときは、魔法大臣は、直ちにその委員を罷免しなければならない。

4 次の各号のいずれかに該当する者は、委員長又は委員となることができない。

一 魔法族でない者

二 魔法犯罪歴のある者

三 時空間に係る事業等を行う者

四 前号に掲げる者の団体の役員又は使用人その他の従業者

(任期)

第八条 委員長及び委員の任期は、五年とする。ただし、補欠の委員長又は委員の任期は、前任者の残任期間とする。

2 委員長及び委員は、再任されることができる。

3 委員長及び委員の任期が満了したときは、当該委員長及び委員は、後任者が任命されるまで引き続きその職務を行うものとする。

(罷免)

第九条 魔法大臣は、委員長又は委員が第七条第四項各号のいずれかに該当するに至ったときは、これらを罷免しなければならない。

2 魔法大臣は、委員長若しくは委員が心身の故障のため職務の執行ができないと認めるとき、又は委員長若しくは委員に職務上の義務違反その他委員長若しくは委員たるに適しない行為があると認めるときは、あらかじめ時空管理委員会の意見を聴いた上、魔法議会の同意を得て、これらを罷免することができる。

(会議)

第十条 時空管理委員会は、委員長が招集する。

2 時空管理委員会は、委員長及び二人以上の委員の出席がなければ、会議を開き、議決をすることができない。

3 時空管理委員会の議事は、出席者の過半数でこれを決し、可否同数のときは、委員長の決するところによる。

4 前二項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる場合において、委員長において特に緊急を要するため委員会を招集するいとまがないと認めるとき又は委員会の会議若しくは議事の定足数を欠いているときは、委員長は、当該各号に掲げる事項に関し、委員会を臨時に代理することができる。

一 時空間重大事故に該当する場合 時空管理基本法による時空間緊急事態の発生の認定、魔法大臣への報告並びに公示及び指示の案の提出

二 時空管理基本法による時空間緊急事態宣言があった時から時空間緊急事態解除宣言があるまでの間にある場合 緊急事態応急対策に関すること。

三 魔法武力攻撃事態等が発生した場合 対策本部長への報告及び関係機関への通知並びに必要な措置を講ずべきことを命ずること。

5 委員長は、前項の規定により、臨時に代理したときは、時空管理委員会規則で定めるところにより、その旨及び代理した事項を次の会議において報告しなければならない。

6 委員長に事故があり、又は委員長が欠けた場合の第二項、第四項及び前項の規定の適用については、第六条第三項の規定により委員長の職務を代理する委員は、委員長とみなす。

(服務等)

第十一条 委員長及び委員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職務を退いた後も、同様とする。

2 委員長及び委員は、在任中、魔法政党その他の政治的魔法団体の役員となり、又は積極的に魔法政治運動をしてはならない。

3 委員長及び委員は、在任中、魔法大臣の許可のある場合を除くほか、報酬を得て他の職務に従事し、又は営利事業を営み、その他金銭上の利益を目的とする業務を行ってはならない。

4 時空管理委員会は、委員長及び委員の職務の中立公正に関し魔法族の疑惑又は不信を招くような行為を防止するため、委員長又は委員の研究に係る時空間事業者等からの寄附に関する情報の公開、委員長又は委員の地位にある間における時空間事業者等からの寄附の制限その他の委員長及び委員が遵守すべき内部規範を定め、これを公表しなければならない。これを変更したときも、同様とする。

5 時空管理委員会は、時空間事故が生じた場合において、これに迅速かつ適切に対処することができるよう、様々な事態を想定した上で、会議の開催及び議決の方法その他委員長及び委員が遵守すべき行動指針を内容とする内部規範を定め、これを適正に運用しなければならない。

(給与)

第十二条 委員長及び委員の給与は、別に魔法法律で定める。

(審議会等)

第十三条 時空管理委員会に、次の審議会等を置く。

時空安全審査会

時空間移動審査会

不正取引対策審議会

歴史改変規制審議会

(時空間安全審査会)

第十四条 時空間安全審査会は、時空管理委員会の指示があった場合において、時空間に係る安全に関する事項を調査審議する。

第十五条 時空間安全審査会は、国家魔法委員会規則で定める員数以内の審査委員をもって組織する。

2 審査委員は、学識経験のある者のうちから、時空管理委員会が任命する。

3 審査委員は、非常勤とする。

4 審査委員の任期は、二年とする。

5 審査委員は、再任されることができる。

第十六条 時空間安全審査会に、会長一人を置き、審査委員の互選によってこれを定める。

2 会長は、会務を総理する。

3 会長に事故があるときは、あらかじめその指名する審査委員がその職務を代理する。

第十七条 前三条に定めるもののほか、時空間安全審査会に関し必要な事項は、国家魔法委員会規則で定める。

(時空間移動審査会)

第十八条 時空間移動審査会は、時空管理委員会の指示があった場合において、時空間移動に関する事項を調査審議する。

第十九条 時空間移動審査会は、国家魔法委員会規則で定める員数以内の審査委員をもって組織する。

2 第十五条第二項から第五項まで、第十六条及び第十七条の規定は、時空間移動審査会について準用する。

(不正取引対策審議会)

第二十条 不正取引対策審議会は、時空管理委員会の指示があった場合において、時空間に係る不正取引に関する事項を調査審議する。

第二十一条 時空間移動審査会は、国家魔法委員会規則で定める員数以内の審査委員をもって組織する。

2 第十五条第二項から第五項まで、第十六条及び第十七条の規定は、不正取引対策審議会について準用する。

(歴史改変規制審議会)

第二十二条 歴史改変規制審議会は、時空管理委員会の指示があった場合において、歴史改変の規制に関する事項を調査審議する。

第二十三条 歴史改変規制審議会は、国家魔法委員会規則で定める員数以内の審査委員をもって組織する。

2 第十五条第二項から第五項まで、第十六条及び第十七条の規定は、歴史改変規制審議会について準用する。

(時空間事故調査)

第二十四条 時空管理委員会は、第四条第一項第十一号に掲げる事務を遂行するため必要があると認めるときは、次に掲げる処分をすることができる。

一 時空間事業者、時空間事故により発生した被害の拡大の防止のための措置を講じた者その他の時空間事故の関係者(以下単に「関係者」という。)から報告を徴すること。

二 時空間事故の現場、時空間事業者の事務所その他の必要と認める場所に立ち入って、時空間事故に関係のある物件(以下「関係物件」という。)を検査し、関係者に質問し、又は試験のため必要な物品等を収去すること。

三 関係者に出頭を求めて質問すること。

四 関係物件の所有者、所持者若しくは保管者に対し当該物件の提出を求め、又は提出物件を留め置くこと。

五 関係物件の所有者、所持者若しくは保管者に対し当該物件の保全を命じ、又はその移動を禁止すること。

六 時空間事業所その他の時空間事故の現場に、公務により立ち入る者及び時空管理委員会が支障がないと認める者以外の者が立ち入ることを禁止すること。

2 時空管理委員会は、必要があると認めるときは、委員長、委員又は時空管理庁の職員に前項各号に掲げる処分をさせることができる。

3 前項の規定により第一項第二号に掲げる処分をする者は、その身分を示す証票を携帯し、かつ、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。

4 第一項又は第二項の規定による処分の権限は、魔法犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

(魔法議会に対する報告)

第二十五条 時空管理委員会は、毎年、魔法大臣を経由して魔法議会に対し所掌事務の処理状況を報告するとともに、その概要を公表しなければならない。

(情報の公開)

第二十六条 時空管理委員会は、魔法族の知る権利の保障に資するため、その保有する情報の公開を徹底することにより、その運営の透明性を確保しなければならない。

(規則の制定)

第二十七条 時空管理委員会は、その所掌事務について、魔法法律若しくは国家魔法委員会規則を実施するため、又は魔法法律若しくは国家魔法委員会規則の特別の委任に基づいて、時空管理委員会規則を制定することができる。

(時空管理庁)

第二十八条 時空管理委員会の事務を処理させるため、時空管理委員会に事務局を置く。

2 前項の事務局は、時空管理庁と称する。

3 時空管理庁に、事務局長その他の職員を置く。

4 前項の事務局長は、時空管理庁長官と称する。

5 時空管理庁長官は、委員長の命を受けて、庁務を掌理する。

6 時空管理庁の内部組織については、魔法行政組織法第七条第七項の規定にかかわらず、同条第三項、第四項及び第六項並びに同法第二十一条第一項及び第五項の規定を準用する。この場合において、同法第七条第六項及び第二十一条第五項中「省令」とあるのは、「時空管理委員会規則」と読み替えるものとする。

(時空管理委員会の運営)

第二十九条 この魔法法律に定めるもののほか、時空管理委員会の運営に関し必要な事項は、時空管理委員会が定める。

附 則

(施行期日)

この魔法法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において国家魔法委員会規則で定める日から施行する。

附 則 (令和六年四月十九日魔法法律第二十号) 抄

(施行期日)

この魔法法律は、公布の日から施行する。